「原発事故から26年、今なお続く内部被曝の脅威」

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チェルノブイリ原発事故から26年が過ぎてもなお、子供たちの深刻な内部被曝が続いていることをロシアから来日した小児ガン専門医が報告しました。

 

チェルノブイリ、内部被曝なお ロシアの小児科医報告
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201111180717.html?ref=recc

2011年11月18日

 

(引用開始)
 チェルノブイリの原発事故から20年以上たっても、周辺住民に放射性セシウムによる内部被曝(ひばく)が続いていると、ロシアの小児がん専門家が18日、千葉市で開かれたシンポジウムで報告した。また、子どもの免疫細胞も減少している可能性があることも明らかにした。
 報告したのはロシア連邦立小児血液・腫瘍(しゅよう)・免疫研究センターのルミャンツェフ・センター長。2009~10年にベラルーシに住む約550人の子どもの体内の放射性セシウムを調べると、平均で約4500ベクレル、約2割で7千ベクレル以上の内部被曝があったという。
 03年にベラルーシで亡くなった成人と子どもの分析では、脳や心筋、腎臓、肝臓など調べた8臓器すべてからセシウムが検出された。どの臓器でも子どもの方が濃度が高く、甲状腺からは1キロ当たり1200ベクレル検出された。
 内部被曝の原因として、食品の規制が徹底されていない可能性が考えられるという。ルミャンツェフさんは「周辺地域の食品はまだ汚染されている。周辺の子どもを3カ月間、汚染のない地域に移住させ、汚染のない食品を食べさせると、体内のセシウム量はかなり減った」と話した。
 また事故3年後の1989年から約10年間、事故の影響を受けたロシアのブリャンスク州の子どもの血液細胞を調べると、過剰に発生すると、がんや心臓疾患の一因で、細胞を傷つける活性酸素などのフリーラジカルが通常の約2倍多かったという。病原体を攻撃する抗体をつくる免疫細胞は、通常より1割以上減っていたという。ルミャンツェフさんは「内部被曝により細胞レベルで様々な影響が出ていると考えられる。因果関係の調査が必要だ」と指摘した。(大岩ゆり)
■朝日新聞社

(引用終了)


◎「放射性物質の臓器親和性」の神話性崩壊

セシウム137は肺、肝臓、腎臓、骨、筋肉、生殖腺に蓄積しやすいと言われていますが、この報告では「脳や心筋、腎臓、肝臓など調べた8臓器すべてからセシウムが検出された」ということですので、結局のところ放射性物質には蓄積しやすい臓器器官に対する親和性が存在するとしても、親和性のない他のあらゆる臓器器官にも蓄積していることが示されています。

ベラルーシの子供たちの甲状腺にはヨウ素131だけでなく、放射性セシウムもかなり蓄積されていました。

特定の放射性物質が特定の臓器器官だけに蓄積すると信じている人が多いようですが、事実は全くそうではないことを認識する必要があります。


◎子供の内部被曝の方が重篤

放射性セシウムの内部被曝は「どの臓器でも子どもの方が濃度が高く、甲状腺からは1キロ当たり1200ベクレル検出された」

放射線に対する感受性が高い子供たちに大人より多い放射性物質が蓄積されているというのは、本当に悲惨なことです。
私たち人類の未来である子供たちに、最も安全な食糧を与えなくてはいけません。
内部被曝の原因として挙げられている「食品の規制が徹底されていない可能性が考えられる」のは日本も同様です。


放射能基準を独自に検討 生協など4団体 国任せにせず
http://www.asahi.com/national/update/1121/TKY201111210539.html

(引用開始)
生協と大手の食材宅配サービス企業など4団体は21日、食品に含まれる放射性物質の基準について共同で検討すると発表した。厚生労働省が暫定基準の見直しを進めているが、基準づくりを国任せにせず、市民が信頼できる物差しを提案したいという。年度内の結論を目標にしている。
 検討を始めるのは、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、大地を守る会、カタログハウス。専門家の意見を聞き、各団体の担当者が定期的に議論する。検討結果を各団体共通の基準として採用するかどうかは未定という。
 現在の暫定基準値は、穀類や野菜、肉・魚・卵なら放射性セシウムで1キロあたり500ベクレル。これに対し4団体はすでに独自の対応をとってきた。パルシステムは10月から暫定基準値を5分の1にした独自基準を設定。カタログハウスはウクライナの規制値(野菜なら1キロあたり40ベクレル)を自主検査で下回った野菜を販売している。生活クラブ、大地を守る会も食品の自主検査に取り組んでいる。
■朝日新聞社

(引用終了)


頑張って欲しいですね。低い基準値の運用を早く始めないと、未来の犠牲者はどんどん増えていくでしょう。
議論をしている暇があるとは思えません。


◎活性酸素やフリーラジカルの増加

「事故の影響を受けたロシアのブリャンスク州の子どもの血液細胞を調べると、過剰に発生すると、がんや心臓疾患の一因で、細胞を傷つける活性酸素などのフリーラジカルが通常の約2倍多かったという。」

体内の健全な細胞や血管や遺伝子を傷つけ、全身の酸化を促進することで、あらゆる病気と老化の原因となる活性酸素は、睡眠不足・喫煙・ストレス・過度の飲酒・動物性脂肪・食品添加物・化学肥料・農薬・医師が処方する薬物・大気汚染・電磁波被曝・放射線被曝などの影響によって細胞内に多量に発生します。

フリーラジカルは不対電子(奇数個の電子を持つ安定しない電子)を持っている原子・分子・イオンのことで、他の分子から電子を奪って安定しようとする過程で、遺伝子を傷つけガンの発生を促します。
人間が生きている限り発生するスーパーオキシドアニオンラジカルや、最強の活性酸素と言われるヒドロキシルラジカルはフリーラジカルです。

これらの影響でガン・脳卒中・心臓疾患・白内障・糖尿病・皮膚のシワ・アトピー性皮膚炎・肝硬変・胃潰瘍・腎不全・リウマチ・動脈硬化などが引き起こされたり悪化したりすることが知られています。

福島第一原発事故が起きて高線量の放射能汚染が憂慮された時期に、我が子の被曝を心配する母親たちのミーティング会場の外で、参加者の子供が毒々しい緑色したファンタメロンのLサイズをゴクゴクと飲んでいるのを見て唖然としたことがあります。

私たちが直面している問題の核心は放射能ではなく、活性酸素とフリーラジカルの増加であることを改めて確認したいと思います。

レイチェル・カーソンが「沈黙の春」の中で「放射能のイオン化によって、元素の転位が起こりやすくなり、化合物の性質がかわり、予想もできないばかりか、私たちの手におえないようなことになる。」と書いたように、環境ホルモンが放射性物質に出会うと、私たちに与える影響は単なる足し算よりもはるかに大きな相乗悪化作用を持つようになることを肝に銘じましょう。


◎免疫細胞の減少

「病原体を攻撃する抗体をつくる免疫細胞は、通常より1割以上減っていた」

311以降これまでになくさまざまな伝染病・流行病・感染症が蔓延しています。
インフルエンザ・RSウィルス・マイコプラズマ肺炎・ヘルパンギーナ・手足口病・感染性胃腸炎etc

病原体の種類は様々ですが、これらの感染の流行は放射線被曝による免疫細胞の減少によって起きていることは確実です。

今必要なことは個々の病原体に対する枝葉末節な対応に腐心することではなく、免疫系そのものを強化する養生です。

それはとりもなおさず、生命が活性化することで元気いっぱいになり、結果的に病原体を寄せ付けないような健康を目指すことを意味しています。

放射能汚染対策の要諦は、より高度な心身の健康を獲得することにあるのです。


(了)