アンドルー・ワイル博士に学ぶ放射線被曝対策(1)

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アンドルー・ワイル(Andrew Weil、1942年6月8日 - )はアメリカ合衆国の健康医学研究者、医学博士、臨床医、アリゾナ大学医学部教授。中国医学などの伝統医学も取り入れ、人間に本来備わっている自然治癒力を引き出すヘルスケア・システムである統合医療を提唱しています。

著書'Spontaneous Healing'(邦訳『癒す心、治る力』)や'8 Weeks to Optimum Health'(邦訳『 アンドルー・ワイル博士の医食同源』)は米国でベストセラーとなりました。


アンドルー ワイル博士はホリスティック医学の提唱者にして、先駆的実践者でもあるパイオニア的存在です。

1990年に出版されたNatural Health,Natural Medicine(邦訳『 ナチュラル メディスン』上野圭一訳 春秋社刊)から放射線被曝に関する彼の見解を引用してみたいと思います。


「電子が軌道から叩き出すほどの力をもつ電離放射線はDNAを損傷し、突然変異を起こしてがんの原因になりうる。X線・放射線・核エネルギーなどはこの電離放射線で、すべて危険なものである。医師や政府関係者は放射線の危険についての認識が遅れている。彼らは放射線の安全性を強調するが、事実は非常に危険なものだ。」

放射能に関する21年前のアメリカの状況は現在の日本と似たようなものだったようです。


「電離放射線は分裂しつつある細胞にたいして選択的に損傷をあたえる。細胞分裂がもっとも活発に起こる組織は皮膚と、臓器の表面や(たとえば腸のような)中空器官の内壁、内分泌器官の導管などを形成する、上皮組織である。表面と内壁はつねに内外の環境からくるストレスの猛攻に耐えているので、常時、組織の再生をしなければならない。細胞が分裂するときは、遺伝情報をコピーするために、らせん状になっていたDNAがほどけた状態になっている。DNAはほどけて伸びた状態になっているときに、もっとも傷つきやすい。放射線ばかりでなく、変異化学物質や細胞分裂の過程で起こる何らかの異変よっても傷がつく。ほとんどのタイプのがんが上皮細胞から生じるのは不思議ではないのだ。上皮細胞以外で細胞分裂が盛んなのは造血組織と免疫系、とくに骨髄だ。それらもまた非常にがんになりやすい部分である。」

上記の内容をもとに、今回の福島第一原発事故による放射能汚染について考察するなら、呼吸器や消化器、泌尿器の上皮細胞がガン化しやすいということになります。

たとえば、肺ガン、胃ガン、肝臓ガン、大腸ガン、腎臓ガン、などが起こりやすいと考えられます。また、骨髄のガンつまり骨髄性白血病に罹患する人が増える可能性も高いことがわかります。

現在環境汚染が伝えられている核種のうち、セシウム137は肺・肝臓・腎臓・骨・筋肉・生殖腺に、ヨウ素131は甲状腺に、プルトニウム239は肝臓・肺・骨・生殖腺に、アメリシウム241は肝臓・骨に、ストロンチウム90は骨に、それぞれ沈着しやすいことが知られています。

これらの核種の悪影響がしかるべき年月を経てガンという明確な形をとって私たちの眼前に姿を現すわけです。


「放射線はこのように、二段がまえで脅威をもたらす。細胞に悪性の変異を起こしてがんを発生させる一方、免疫系を損傷させて、がんにたいするからだの防衛力を弱めるのだ。しかしながら、両方とも、その影響があらわれるまでには長い時間がかかる。がんの原因としての放射線にたいする人々の認識が遅れ、その危険を軽視する人が多い理由のひとつは、原因が結果となってあらわれるまでに長い年月がかかるということがあげられるのである。」

私たち人類には、悪影響が明確な形をとって現れるまでに時間がかかるものに対する想像力が欠如しているのかもしれません。

今回の被曝によって子供たちにガンが現れるのは5年後以降で、大人は10年後以降だと言われています。

そもそも原爆投下から始まった日本人と放射能の付き合いは66年に及び、この間地球上で行われたたくさんの核実験やスリーマイル島とチェルノブイリの原発事故や、狭い国土に林立した54基もの原子炉が排出した、大量の放射性物質の影響が現在のガン大国日本を作り上げたと言っても過言ではないでしょう。

事実、チェルノブイリ原発事故の11年後に当たる1997年からの3年間は青森県・岩手県・秋田県・山形県・茨城県・新潟県の乳ガン死者数が突出して上昇したという統計があります。(内部被曝の脅威・肥田舜太郎/鎌仲ひとみ著)

国内の原発から排出される放射性物質は大気と海を汚染し、呼吸と海産物の摂取によって体内に取り込まれてきました。

また食糧の半分以上を輸入に頼る日本は、海外の核実験や原発事故によって汚染された食糧を、ずさんなチェックで通関し食べて続けてきました。
(スリーマイル島原発事故後に輸入されたハーシーのチョコレートは高濃度に汚染されていたそうです。)
海の食物連鎖によって汚染物質が生物濃縮された海産物、特に遠洋で捕れるマグロなどを日本人は好んで食べてきましたが、これは最も美味して最も危険な食べ物のひとつです。

海の食物連鎖の頂点にいるクジラやイルカは水銀などの重金属や放射性物質を高濃度に濃縮して持っていますので、健康のために食べるのをやめた方が良いでしょう。そうすればクジラやイルカに特別な価値を置いて日本人を非難している差別主義者たちとの軋轢を避けることもできて一石二鳥だと思います。

1964年以来、中国新疆ウイグル自治区のロプノール湖は核実験場として使われ、1996年までに核実験を45回実施し46発の核爆弾を爆発させてきましたが、そのうち1980年までに行なわれた核実験は、地下核実験ではなく地上で爆発させたのです。ロプノールでの核実験は、総爆発出力20メガトン、広島の原爆の約1,250発分に相当するそうです。被害の凄まじさは想像を絶しますが、中国政府は一切の情報開示を拒んでいます。
毎年中国から飛来する黄砂は、単なる砂ではなく異常な公害物質と放射性物質を含んでいることが判明しています。

中国野菜の農薬汚染は恐ろしいですが、それに放射能汚染も加わっているとすれば危険性は倍化します。

このように、フクシマ以前から私たちは知らされぬままにかなりの内部被曝にさらされてきたことが想像できます。

だからこんなにガン発症率やガン死亡率が高いのです。

ちょっと考えればわかることです。

この世界で健康な生涯をおくりたければ、政府や医師やマスメディアの言うことを鵜呑みにせずに自分で確かめることです。

真実は誰も教えてくれません。

 

下山田吉成