水道水の放射能汚染について

水道水や食品の放射能汚染がかなりまずい状態であることがわかってきました。

水道水の検査体制は非常に杜撰な上、汚染している可能性のある放射性物質の中から一部の成分を意図的に選択し、政治的見地から都合の良い検査結果だけを公表していることが明らかです。


放射線量計測は一定の誤差や限界を伴う微量分析であることから、検査結果が必ずしも正確な数値を示すものではないことを知っておく必要があります。

また今回の原発事故のように緊急性を要求される状況下の検査方法の方が平時の検査方法に比べ、簡易性や迅速性が優先されるため検査精度が後回しにされがちです。


現在採用されている水道水の放射線濃度の暫定基準(例・放射性ヨウ素300ベクレル以下)は、これまで全国各地で頻発してきた原発事故隠蔽に積極的に荷担し、日本の原子力行政推進の中核として今回私たち国民の多くを被曝させ恐怖のどん底に突き落とした元凶である、あの「原子力安全委員会」が作成・決定したものを厚生労働省や農林水産省や全国自治体水道局などの機関が横流ししていただけだったことが判明しました。

世界一の原発密度を誇る日本の厚生労働省衛生局では、今回の水道水汚染を受けて3/17付で「福島第一・第二原子力発電所の事故に伴う水道水の対応について」と題する公文書を発令しましたが、このような措置は同省発足以来史上初のことだそうです。つまり厚生労働省の官僚たちは水道水が放射性物質で汚染されることを全く想定していなかったということです。
ですから今回の原発事故による放射性物質で汚染された水を摂取した人々にガン患者が多発しても、厚生労働省としては「想定外」の出来事で責任はないということになるのでしょう。

「水道水の放射線量の計測値が安全暫定基準値以下になったのでご安心下さい。」などと報道していますが、そもそも水道水の放射能汚染に関する安全基準値そのものが存在しなかったところに、私たちの大切な海・山・川・大地・空気の全てを放射能で汚染した東京電力の仲間である原子力安全委員会が事故発生後に決定した「安全基準値」を信じろと言う方がどうかしていると思いませんか?

前にも書いたようにこの暫定的な安全基準値の根拠が不明でしたが見つけました。それはICRP(国際放射線防護委員会)のPublication6を踏まえたものでしたが、このICRPの基本姿勢が人体の健康最優先ではなく、基準値は『統計学的に「有意」とはならない危険債は、原子力推進上やむおえない』とする立場の国際基準値だったのです。
つまり私たち国民の健康は二の次に考えている原子力推進派が制定した「安全基準値」を現在用いているわけです。


本来水道水からは放射性物質は全く検出されないのに、「原発事故が起きたから300ベクレルまでは大丈夫ですよ」という見解は誰がどう考えても論理的に破綻していると思うのですが、皆さんはどう思いますか?

私にはたとえ100ベクレルだったとしても放射性物質に汚染された水が安全だとは到底思えません。

農産物や加工食品のほとんど全てには水道水が使用されていますが、最終出荷地は表示されても製造過程や個々の原材料の生産地や製造所までは記載されていませんので、放射能で汚染された水道水を使って製造された食品かどうかは表示を見てもわかりません。したがって加工された放射性物質を含む食品が全国に流通するのは至極当然のことです。
 

さらに大きな問題は原子力委員会作成の「飲食物摂取制限」に関する安全暫定基準値の表を見ると、水道水の検査対象になっている核種がもともと放射性ヨウ素(混合核種の代表核種131)、放射性セシウム、ウラン、プルトニウムおよび超ウラン元素のアルファ核種の計4種類しかないことです。

原子炉内に蓄積している放射性物質は何種類あると思います?

何と54種類もあるのです。それなのにそのうちのたった4種類しか計測しないで「安全です」と言っているのです。

放射性ヨウ素131が安全値を示したからといってストロンチウム89やキセノン133が安全値だとは限りません。
さらに信じられないことに、たった4種類しかない検査対象から厚生労働省健康局水道課が出した3/19付発令ではウランとプルトニウムが検査対象から除外されていたのです。

これでは水道水にウランやプルトニウムが含まれているかどうかも、どのくらい含まれているのかも、全くわかりません。

国民のほとんどはマスコミの報道を見て、原子炉から放出された放射性物質は放射性ヨウ素と放射性セシウムだけだと思い込まされているのです。

原子炉が破損しているのは誰の目にも明らかなわけですから、いくら官房長官や御用学者たちがそう言ったからといって、放射性物質が2種類しか漏れていないと本気で信じてしまう日本人の知性や想像力は原発と同じくらいアブナいと思います。

他の50種類以上の放射性物質については計測していないわけですから、どんなにひどい汚染が起きているとしても誰にもわからないし、健康被害が起きても誰も責任をとる人はいません。

また、仮に各放射性物質の計測値がそれぞれ基準値以下だったとしても、全ての放射性物質の放射線量を合計すると健康を損なうくらいの高い数値になる可能性があります。
それについても2種類しか検査していないために調べようがありません。

このことは大気はもとより農産物や畜産物、海産物を含む全ての食品についても同じことが言えます。

また食品については農作物や肉、乳、卵海産物などの全種類を検査していないため、信頼をおくことができません。
例えばある畑のほうれん草が放射性ヨウ素について異常値を示したのに、このほうれん草をエサとして与えている豚やニワトリがいても、肉や卵は検査対象にはなっていないためチェックには引っかかりません。
(卵は汚染されても「ヨード卵だからかえって健康にいいですよ」と誰かがテレビで言えば、多くの視聴者は本気にするのでしょうね。テレビってスゴイ!)

したがって私たちは知らないうちに多くの放射性物質を体内に取り込んでいる可能性が高いのです。

放射性物質の半減期は
76分12秒(クリプトン87)
8.04日(ヨウ素131)
50.5日(ストロンチウム89)
30.2年(セシウム137)
21000年(プルトニウム239)
約45億年(ウラン238)

などさまざまで、半減期が短くなるほど放射線量は多くなり、放射線量が少なくても体内被曝すると被曝量は距離の2乗に反比例して増大するため、長期に渡って局所的に及ぼす生物学的影響は極めて大きいものがあります。

昨日ご紹介した逆浸透膜の浄水システムと蒸留水器について何人かの方々から「どちらが良いと思いますか?」と質問されましたが、予想される汚染が想像以上にひどい可能性が高まっているため、「逆浸透膜の浄水器で浄水してから蒸留水器で蒸留すればバッチリ」だと答えています。冗談に聞こえるかもしれませんが本気でそう思っています。そのくらい私たちを取り巻く環境の放射能汚染は切実なのです。

この状況から避難せずにとどまるのであれば、相当な努力と知恵を必要とします。そうでなければ自分や家族の健康を守ることができないということを肝に銘じて下さい。

 


下山田 吉成

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