柿の木坂で得たもの

鍼灸師・ホメオパスとホリスティック医療を行う心療内科医というコンビネーションは治病観において協調できる点が比較的多く、通常の自然療法家と医師という組み合わせから見ればはるかに幸せな関係だったと思います。

私たちは共通の患者さんをそれぞれのやり方で治療し、必要に応じて情報交換を行い、多くのケースにおいて治癒を促進することにより投与される薬物を減らし、遂には廃薬することに成功したものです。

柿の木坂で過ごした約5年半の間には数々の貴重な臨床経験や新しい技術だけでなく、生涯の伴侶である妻と長女を得ることができました。

妻になった人はクリニックの隣りの自然食品店でチーフをしていた小柄な働き者の女性でした。彼女とは私が拾った捨て猫の里親になってもらったことが縁で親しくなり結ばれたのです。

やがて妻は妊娠し、桜が満開の頃に長女を自宅アパートの一室で出産しました。新生児を見るのが初めてだった私は助産士さんに「どうしてこんなに赤いのですか?」と質問して「赤いから赤ちゃんていうのよ」と笑われてしまいました。


娘の出産に立ち会ったことはとても大きな経験でした。
昆虫の産卵や羽化、鳥の孵化は見たことがありましたが、人間が生まれて来るのを初めて目の当たりにして、何とも言えない驚きと不思議な感動を覚えました。

混乱を通して調和を学ぶための世界に娘がやってきた時、私は「いらっしゃい」と誰にも聞こえない声で小さくつぶやきました。


私と妻は、人間が生命の持つ可能性を生涯に渡って最大限に生きるためにはどうすれば良いのか、ということについて出会う前からそれぞれのやり方で研究と実践を続けていました。

当時私たちが考えていたのはおおよそ次のようなことでした。

①元気な子供として生まれて来ること

②父母が妊娠以前から健体康心であること

③妊娠中に母が心身共に健やかであること

④自然な分娩によって誕生すること

⑤母乳で育てられること

⑥布オムツを使用すること

⑦大きな外傷などを除き、薬物投与や予防接種など医師の行う処置を受けないこと

⑧できうる限り砂糖、食品添加物、農薬、化学肥料、などが含まれない食物を摂取すること

⑨哺乳類の肉はなるべく食べないこと

⑩原則として病や怪我は自然療法で対処し、自らの内的治癒力によって回復させること

⑪感情を抑圧せず、放逸に任せず、調和のとれた精神生活を心がけること

⑫石油化学製品や人工的な電磁波をできる限り遠ざけること

⑬重要な人間形成期に有害な伝統的・文化的・宗教的・教育的汚染を遠ざけ、「良い、美しい、素晴らしい」人や物や出来事に触れる機会を積極的に持つこと

⑭自らの先天的な気質や体質を認識し、中庸に戻すための努力と実践を継続すること

⑮先哲に学び、先哲を捨てること

⑯家族仲良く楽しく暮らすこと

つづく                                     by Y.S

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 柿の木坂で得たもの

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://himorogian.jp/mtos/mt-tb.cgi/12

コメントする