レメディのご紹介

    【 Arsenicum album 】
    アーセニカム アルブム
    (三酸化二砒素)(Ars)
    (As2O3)
    (Arsenic trioxide)

    ( 影響を及ぼす部位 )
    粘膜。精神。呼吸。肺;右側、肺尖。血液。心臓。神経。脾臓。リンパ腺。筋肉。皮膚。漿膜腔。器官。右側。左側。

    ( 悪化要因 )
    冷たさ(アイスクリーム;冷たい飲物;冷たい食物;冷たい空気)。周期的(午前0時過ぎ;午前2時過ぎ;14日ごと;毎年)。野菜。飲む。少しずつ飲む。感染症。腐った肉。発疹(十分に発現しない;抑圧された)。キニーネ。体の一部を下にして寝る。喫煙。活動。

    ( 好転要因 )
    暖かさ(暖かい物、乾いた物を当てる;温かい食物;温かい飲物;身を包んで暖める)。動作。歩き回る。頭を高くする。背すじを伸ばして座る。人と一緒にいる。冷たい物を当てることや冷たい空気(>頭痛のみ)。

    M:不安定。一人でいる事を恐れる、絶えず人と一緒にいたい。
    M:多くの恐怖:病気、癌、泥棒、貧困、死、一人になる事。死ぬことで頭がいっぱい。
    M:几帳面、潔癖;口やかましい。染みひとつなく清潔な身なり。整理整頓に取り憑かれいる。
    M:欲深い(貪欲、寛大な時もあるが、何か見返りを期待する)。用心深い(危険を冒す事を恐れる)。あらゆる種類の物を集める(貴重品、骨董品、アンティーク)、慰めと金銭(安全、保証)を好む。所有欲が強い。節約家。自分勝手。 M:極度の落ち着きのなさ。
    M:苦悩(死への恐怖)、<一人でいる。
    M:「話しかけられたくないが、誰か一人には部屋に居て欲しい」。
    M:何かを期待される時の不安(2/1)。健康についての不安(医者にすがりつく、自分を安心させる事を要求する、自分に注意を引くために症状を大げさに言う)。他者への依存。
    G:焼ける様な痛み(火の様な、火花の様な、熱い針、針金の様な)、>暖かさや暖かい物を当てる。
    G:突然の衰弱。些細な活動から衰弱するB。
    G:<身体活動。<速く歩くB。
    G:刺激性の、不快な臭いのする、水っぽい分泌物(少量)。
    G:腐敗した死体の臭い(分泌物)。
    G:破壊的で、悪性の進行。
    G:<夜(真夜中過ぎ;午前1〜3時)。
    G:>熱、頭痛を除く(>冷たい空気)。
    G:焼ける様な、我慢できない喉の渇き;冷たい水への欲求、胃<冷たい水。
    G:飲物をよく飲むが一度に少しずつ(口や唇を湿らせる程度の量をすする)。
    G:外側の冷たさ&内部の焼ける様な感じ。
    G:壊疽性疾患(または潰瘍化の傾向)、火の様に焼ける様な痛み、しかし>暖かさ。
    G:病気&(突然の)衰弱、恐怖、落ち着きの無さ。 P:急性の胃腸炎&嘔吐と下痢が同時に起こる;焼ける様な喉の渇き、焼ける様な痛みと衰弱。
    P:皮膚病を伴う患者の胃の痛み。
    P:喘息;<夜中過ぎ;<匂い;泡状の喀出物、卵白を泡立てた様な;恐怖と落ち着きのなさ;肺に焼ける様な痛み;発疹の抑圧と関連する。
    P:鼻感冒、枯草熱;水っぽい、皮膚を擦りむく分泌物;皮膚が擦りむけ、焼ける様な上唇。
    P:発疹、皮膚の乾燥が著しい剥離を伴う(小さく、白い鱗片)、<寒さ。
    P:湿疹、<冬、>夏
    P:頭痛、偏頭痛、特に左目の上、焼ける様な痛み;キーノート:体を暖かく、しかし頭は冷たくしていなければならない。
    P:魚を食べた後の蕁麻疹。
    P:嘔吐と下痢、&恐怖や落ち着きの無さ、アイスクリームを食べた後。
    P:頭痛(>冷たさ)が、リューマチ性疾患(>暖かさ)と交互にある。

    Arsenicum albumはホメオパシーにおいてよく知られているレメディの中でも、日本人の国民性を象徴するレメディとして、その筆頭に挙げて良いものだと考えられます。
    Arsenicumは、自分の健康や貧困について深刻な慢性的不安を抱いている、非常に寒がりで気難しい人々に必要とされるレメディです。
    Arsenicumの病理の根底にある重要な要素は、根深い不安です。Arsenicumとして知られている主要な肉体的症状のほとんどは、この不安が引き金となって発生します。
    不安から生じるのは、他の人々への依存です。実際には、Arsenicumの人は他の人々に対する単なる欲求以上の執着を持っています。誰かが彼の近くにいることが実際に必要です。
    Arsenicumは、健康に関する不安と、(健康被害の可能性に直面してしまうので)一人にされることへの不安や、貧困に対する不安、何かが起こった場合の安心とサポートのために、近くの人々を強く必要としています。
    Arsenicumには自分が病気なのではないかと過剰に心配する心気症傾向があり、不治の病やガンを強く恐れます。
    彼らの果てしない心配と、死への恐怖、病気になることへの恐れは、患者本人とその世話をする人達を消耗させます。
    加えて、全ての物が本人にとって正しい場所にきちんと整理されてなくてはなりません。また、非常に神経質で清潔さを強く希求する潔癖症、バイ菌や病原体、伝染病や感染症に対する強い恐れがあります。
    Arsenicumは自殺傾向の強いレメディとしても知られており、自殺大国・日本における自殺方法の1位で、全体の約3分の2を占める「首つり自殺」に最も感受性が強いホメオパシーです。

    2位で約10%を占める「飛び降り(身投げ)」 3位で約9%の「有毒なガスや蒸気の吸引」
    5位の「車や電車への飛び込み」が約0.27%
    6位「鋭利な物体で刺す」が約0.25%
    などに関してもホメオパシーのレパートリー(症状からレメディを検索する書物)において該当する効果的なレメディとしてArsenicumが記載されています。

    2016年の日本における自殺者のうち、実に約94%がArsenicum albumが選択する傾向が強い自殺方法で死亡しています。
    またArsenicumは1981年以来、日本人の死亡原因の1位である「ガン」に最も関係が深い、治療効果が期待できるレメディの1つとしてホメオパシーの世界では非常に有名です。
    日本人の多くが苦しんでいる花粉症やアレルギーに関しても、Arsenicumは効果的なレメディの上位にリストアップされています。
    Arsenicumは風邪やインフルエンザに罹患した時によく用いられるレメディの1つです。

    新型コロナウイルスに感染した方に現れやすい一般的な症状として現在までに知られていることは、

    ○ 発熱
    ○ 乾いた咳
    ○ 強い倦怠感
    ○ 痰
    ○ 息切れ
    ○ 筋肉痛および関節痛

    などで、悪化すると

    ○ 肺炎
    ○ ウイルス性肺炎
    ○ 呼吸困難

    が起きることがわかっています。
    また、最近になって初期症状または前駆症状として、

    ○ 嗅覚障害
    ○ 味覚障害

    が現れる場合が多いことがわかってきました。

    新型コロナウイルスに感染した方に現れやすい一般的な症状に対するArsenicum albumのホメオパシー的な有効性

    ○=1点
    ◎=2点

    @嗅覚障害 ◎○
    A味覚障害 ○
    B発熱 ◎○
    C乾いた咳 ◎○
    D強い倦怠感 ◎○
    E痰 ◎○
    F息切れ ◎
    G筋肉痛・関節痛 ◎
    H肺炎 ◎○
    Iウイルス性肺炎 ○
    J呼吸困難 ◎○

    @〜Jの症状全てにArsenicum albumが効果的であることが、ホメオパシーの200年以上の歴史の中で実証されています。
    以上のような理由で、1月下旬の時点で、私が患者さんや生徒さんにアドバイスした、新型コロナウイルス感染症の予防対策レメディはArsenicum albumでした。
    インドの伝統医学省(AYUSH省:アーユルヴェーダ、ヨガ&自然療法、ウナニ、シッダ、ソワリグパ、ホメオパシーを管轄する省)は、1月29日、ホメオパシー(類以療法)の治療薬である「アーセニカム・アルバム30c(Arsenicum album 30c)」の服用を推奨する声明を発表しました。
    伝統医学省によると、微量の服用量で処方される代替薬で病気を治療するホメオパシー療法は、かつてインド独立の父であるマハトマ・ガンディーが推奨したこともあって、現在では国立大学を含む120以上のホメオパシー大学が設立され、インドの総人口約13億人のうち約10%(約1億3000万人:日本の総人口とほぼ同数)の人々にとって主要な治療法として利用されているそうです。
    ホメオパシー先進国であるインドの伝統医学省が、新型コロナウイルス感染症の一般的な症状から Arsenicum を選択したのは当然の対応だったと思われます。